🔶🟥タイのニュース・三面記事🔶🟥2022/06/17🔶🟥

先日女優のテンモー・ニダーさんが
ボートから川に落ちて亡くなった事件で、
遺族のお母さん側は国会議員や新しい弁護士、
犯罪被害者の会の会長とチームを組んで、
事件を”殺人事件”としてもう一度捜査するよう
活動していたが、
このチームが先日、仲間割れをしてしまい、
殺人事件としての捜査はしばらく進みそうになくなった。

そんな中、昨日、オブザーバーとして
テンモーさん事件の検死解剖に参加している
タイの法医学医の第一人者であるポンティップ医師の
事件解決に関する単独インタビューがあった。

全体で30分と長い為、かなり要訳した内容だが、
この事件の捜査をややこしいものにしている
タイ警察と社会の特殊性、問題点や暗部を
よく語っていると思う。
（タイで著名人が権力側の批判はしても、
暗部を暴くのはある種、命がけ）

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【番外編】タイの闇を覗き見る/
人気女優の不審な死
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ポンティップ・ローチャナスナン氏インタビュー

【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー
取材班）

今回のこの事件を科学的見地、
もしくは法医学的見地から
どのように見ておられますか？

ポンティップ）

この事件はどう決着するのか
世間の多くの人が注目している事件の一つですが、

最初からとても奇妙でした。

　　　　　タイの法医学の権威であり、現役の国会議員

亡くなったテンモーさんは有名人になのに、

ボートに同乗していた仲間の誰一人として、

最初の死体探しに協力しませんでした。

また、警察も同乗者の証拠集めをしませんでした。

　　　　　テンモーさんと死亡時の彼氏バートさん。
　　　　　彼はバンコクで洋服店とネット販売を経営している。
　　　　　彼はテンモーさんの死後、一切のマスコミの取材を断っている。
　　　　　理由は”どうかそっとしておいて欲しい”

そして同乗者の一人(セーンさん)の言うには

”テンモーさんは船尾で用を足していて落ちた”と。

この事件に注目している人はとても多いのに、

ほとんど誰も警察等の公式発表を信用していません。

　　　　　左から）舟のオーナーであるポー氏
　　　　　友人でありマネージャーのクラティックさん
　　　　　セーンさん、チョップさん、そして毛が薄いからと言って
　　　　　毛髪の麻薬検査を拒否したロバート氏

遺族であるテンモーさんのお母さんが
”この事件を解決できるか”と私に尋ねて来ました。

でもこの事件の捜査に関しては、
私はただのオブザーバーの法医学医です。
だから深く追求することができない。

お母さんは最初から
この事件が”事故”だと言う主張に
疑問を持っていたんだと思います。

　　　　　テンモーさんのお母さん”パニダーさん”は
　　　　　元モデルだったらしい

でもこの国の人は警察の権力を恐れてます。

なので疑問に思いながらも警察の判断に疑問を呈して、

事実を解明すべく誰か専門家に助けを求める
勇気はなかったのかもしれません。

取材班）

でもお母さんは当初は
”事故だ”と言う警察の判断に
”その通りだ”と賛成していましたよね。

でも今では”殺人だった”と言葉を翻し、
真実の追求をするべく奔走されていますね。

ポンティップ氏）

でもお母さんは（解剖時に）骨まで達する
テンモーさんの大腿部の大きな傷の説明も聞いています。

　　　　　テンモーさんの遺体には合計26もの傷があり、
　　　　　大腿部のものは最も大きく深く、骨まで肉がえぐれていた

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

テンモーさんが川に落ちたにも関わらず、

ボートの同乗者は警察に通報するのが遅く、

通報した後はそれぞれ皆、家に帰りましたよね。

ポンティップ氏）

そして２日後に水死体が見つかって、
その大腿部には骨まで達する大きな傷があった。

でもこの傷は川に落ちる前に負ったものか、
川に落ちてから負ったものかわかりません。

この時点で警察は同乗者五人の
取り調べをするべきでした。

　　　　　警察が集めた証拠品は数の足りないワイングラス、
　　　　　ペットボトルの水等、、、わずかだけ
　　　　　その上、船内の血液反応検査をしなかった

１つは飲酒についてのアルコール検査。

２つ目は傷について、

そして血痕がないかどうか。

血痕については舟も調査すべきでした。

取材班）

しかし警察は事故後２４時間以内のアルコール検査も、

船内の血痕の調査もしませんでした。

ポンティップ氏）

アルコール検査をしたのは
死体になった後のテンモーさんだけで、
なぜなのか知りませんが同乗者については
24時間以内に行っていません。

毛髪を用いた薬物検査も警察は、

同乗者が”髪の毛が薄いから”と断っている
と言いましたが、その断った本人は
頭を剃って出家しました。

　　　　　　髪の毛が薄いから毛髪検査は嫌だー
　　　　　　でも坊主にして出家はOKって何やねん？？

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

毛髪検査は頭の毛だけですか？
他の毛はダメなのですか？

ポンティップ氏）

他の毛でもいいですが、強制は出来ません。

警察側の法医学医も大腿部の傷が争いによって
負った傷なのかどうかと言うことも言いませんでした。

取材班）

舟が入れ替えられたのではないか
と言う疑いについてはどうですか？

これについてはネット民が色々証拠を掴んでは
SNSにアップしていましたが。

ポンティップ氏）

証拠品の全ては基準に基づき保管されています。

なので１艘しかないと警察が言ったら

１艘しかないんです。

通常、舟はマリーナに保管されてますから、

外部では何が行われようと

警察の知った事ではないでしょう。

たとえ５艘あったとしても不思議はありません。

誰だって事件にはしたくないから

証拠は隠滅したいでしょう。

取材班）

あなたは舟が入れ替えられたと思いますか？

ポンティップ氏）

私は他に同じ舟があると言うのを見た事ないですから。

私が見たのは警察が預かっている１艘だけです。

　　　　　左）船遊びの前に立ち寄った給油所の
　　　　　防犯カメラに映ったボートと
　　　　　証拠品として警察に提出したボート（右）の
　　　　　窓枠の色が違う

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

テンモーさんの死体に残った傷の数が、

当初は１１箇所と言っていたのに、

それが２３箇所に増え、
最後には２６箇所に訂正されました。
これについてはどうですか？

ポンティップ氏）

私は実際にその調査書類を見たわけではありませんが、

このように数が変わるのは普通ではありません。

でも大切なのは数ではなく、
それぞれの傷に対して１枚以上の証拠写真を
撮っておくべきですが、

私が今まで見て来た事件でも、
実際の死体にはあるのに

写真も撮らずに書類上はない事に
なっている傷はたくさんありました。

取材班）

それはわざとですか？

ポンティップ氏）

わざとかどうかは知りませんが、記録もしていない。

たぶん見ていないんでしょう。

でも私が見たらそれ以上に見つかる。

取材班）

テンモーさんの傷の数がこれ以上増えるのは？

ポンティップ氏）

増えるかどうかはわかりませんが、

最初１１箇所としていたのは最初の担当者が

見つけられなかったからだと思います。

傷も人によってつけられたものなのか、

舟のスクリューに巻き込まれてついたのかも

言うことはできません。

ですが、スクリューの場合は

どう言う傷になるかと言うのは

大体の予想はつきます。

多くの場合は直線的な傷になります。

でもスクリューの傷だとしたら

船尾で用を足していて落ちたと言うのは

違うと思います。

　　　　　”セーンさんの足を持って船尾で用を足すテンモーさん”
　　　　　の実践を司会者のヌム氏相手にやってみせるセーンさん
　　　　　どう考えてもおかしいやん。

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

あなたはテンモーさんが船尾から落ちたのではないと？

ポンティップ氏）

違います。

取材班）

舟の先頭部分から落ちたと言うことですか？

ポンティップ氏）

そうです。

科学的捜査の結果は人間の供述より信用できます。

人間の供述はコロコロ変わることもあります。

取材班）

テンモーさんが亡くなってから１０日過ぎた頃に、

警察が押収したボートのスクリュー部分や船底に

テンモーさんの毛髪がくっついているのが

発見されましたね。

これについてはどうですか？

ポンティップ氏）

私はあの件については証拠として使えないと

思ってます。

時間が経ってから出て来る証拠は、

時間が過ぎれば過ぎるほど信用に値しないと思います。

控えめに言ってもこの事件の捜査のシステムは

あまり良くないと思います。

取材班）

もし、容赦無く言うとしたら？

ポンティップ氏）

全く基準に達していないと思います。

取材班）

タイ警察の捜査は優秀ではありませんか？

ポンティップ氏）

優秀かどうかは関係ないです。

タイの警察の捜査システムは

その係員の判断基準もマチマチです。

証拠調べには捜査担当が来るのを待たねばなりません。

捜査担当は自身の判断基準に従って証拠集めをし、

記録するのも、しないのも彼次第です。

集めた証拠やデータを全て取り調べ書類に記録するか、

しないかも彼次第。

でも外国は違います。

集めた証拠もデータも全て記録されます。

　　　　　　軍隊のように細かく分かれる階級は服装を見ればすぐわかる

あと、もう一つは大きな問題ですが、

タイの警察は軍隊のように階級が決まってます。

同じ課の上の階級の者がが何か言って来たら、

下の者はそれに従わねばなりません。

取材班）

このようなシステムは変えることはできないんですか？

ポンティップ氏）

警察自身が受け入れないでしょう。

それに政治家の誰もがその改革を

実行しようとする勇気もないですよ。

それは保守派であろうと改革派であろうとです。

　　　　　　皆んなでワインを飲んでるのに船に残ったのは
　　　　　　２つのグラス。瓶についてはなかった。

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

テンモーさんの死体から検知された

血中アルコール濃度93mg％ですが、

ワインをグラス一杯150ccに換算されます。

でもボートの同乗者の体からはアルコールは

検出されなかったと警察は言っていますね。

ポンティップ氏）

93mg％という数値はたぶん

正しい数値ではないと思います。

なぜなら彼女の場合は眼球から検出しましたし、

死体は腐敗もしていました。

でも舟の同乗者は全員飲酒をしていたのに、

警察は事故後24時間以内に検査をせず、

事故後２日も経ってからするなんて意味がありません。

でも警察が事故当初、

彼らの飲酒を知っていたかどうかは知りませんよ。

　　　　　　　死因を証明する

でも今までの例でも飲酒運転をしていた人が

事故を起こしても、自分で病院に行き、

お金を出して血中アルコール濃度の検査をして

数値を書き換えてもらい、

それを持って行って事故の捜査書類に書いてもらう

なんて事がありました。

でもなぜこの国の多くのシステムに

公正さを求める改革が必要とされるのか、

１つ目はこの国では悪い事をしても
コネやお金さえあれば逃げ切る事ができます。

２つ目は捜査をして結審する側に

全く公正さを保つ意識が欠けているからです。

自分の地位や職務権限を金儲けに利用する。

有罪を無罪にする事だってできる。

法律に従わねばならないのは貧しい人だけ。

取材班）

刑務所に収監されるのは貧しい人だけだと？

ポンティップ氏）

それと知識のない人ね。

　　　　　　ポー氏がレイプドラッグを所持、
　　　　　　常用しているとの情報は本当だった

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

ボートを操縦していたポー氏がレイプドラッグとして

使用される薬物を所持、常用しているという

情報もありました。

ポンティップ氏）

レイプドラッグの成分は通常、

ストレスや緊張の軽減にも使われて、

服用すると眠くなってボーッとしますが、

状態は服用した量に比例します。

もし、同乗者の体内から検出されたのなら

調査せねばなりません。男性だったら

緊張の軽減に使っていると思われますが、

しかし、それが女性の体内から発見されたら、

事は重大です。

　　　　　　テンモーさんの水死体が上がった近くの船着場には
　　　　　　白い花束が山のような献花が

取材班）【要訳】ーーーーーーーーーーーーーーー

科学捜査、医学的見地から見て、テンモーさんは

水に沈められる前に死んでいたのか、

それとも溺死なのかはどうですか？

ポンティップ氏）

彼女は溺死です。

肺も胃も川の水で一杯でした。

取材班）

あと、テンモーさんが浅瀬で
亡くなったのではないか

という見方についてはどうですか？

ポンティップ氏）

これについては以前も言ったはずですが、

肺や胃から見つかった泥や砂の粒を調べて、

チャオプラヤー川のどの辺りの川底の泥と同じか

調査はできるはずですが、

これも警察は調査していません。

取材班）

テンモーさんの検死ついて病院を最初の病院から

警察病院に転院することがありましたが、

これは普通のことなのですか？

ポンティップ氏）

普通じゃありません。

通常は同じ病院と担当医が最後まで担当します。

でも、この転院の命令をしたのは現場の捜査担当から

じゃなくて、もっと上の方から出てると思いますよ。

変な事ですが、違法ではありません。

取材班）

法医学的捜査の専門家から見て

この事件の捜査についてアドバイスはありますか？

ポンティップ氏）

あり過ぎるほどあります。

でもあんまり視聴者の皆さんに聞かせたくないです。

なぜならこの国の警察システムの腐敗や欠陥を

目の前に突きつけられたようになるから。

捜査のシステムも各課がそれぞれにやっていて

連携が取れていない。

検死一つとっても、死亡事件が起こってその死体を

検死に回すか回さないかも担当者とその上司次第。

証拠やデータも全部調書に書くか書かないか、

それも彼ら次第。

アルコール量の謎

テンモーさんの事件は

この国の警察システムの実態を

あからさまに見せてくれたと思いますが、

これらはまだまだ氷山の一角のようなものです。

取材班）

テンモーさんの事件は、

あなたがこれまで見て来た中で

一番難しい事件じゃないですか？

ポンティップ氏）

全然そんな事はありません。

実に簡単です。

取材班）

３ヶ月経ってもまだ解決してないんですよ。

ポンティップ氏）

それは最初のボタンを掛け違えてるからですよ。

テンモーさんの事件は何一つ

難しいことなどありませんよ。

でも、ややこしくなってる。

警察内外の人間の権力関係が絡んで。

取材班）

最後の質問ですが、

これは答えていただかなくてもいいです。

首を縦に振るか、横に振るかだけでもいいです。

というのは、テンモーさんの事件は事故ですか？

それとも殺人事件？

ポンティップ氏）

それについては答えられません。

なぜなら私はこの事件の検死を担当してませんから。

でも一つだけ分かってる確実な事は、

”事実を話していない人がいる”という事です。

私はこれだけはっきりと言えます。

舟の同乗者は真実を語っていません。

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